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風磨と健子 fmkn

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風磨と健子 fmkn

夏休みが終わった。気づいたら、高1の夏休みもうなくなった。
風磨の記憶に残ったのはこなしきれない宿題と汗かきまくりのバイトだった。
もう一つは、本人が無意識だろうけど、だんだん色っぽくなってきた幼馴染ー健子のこと。風磨の一つ上なのに、小さい頃からはみんなより成長遅くて、体ちっちゃいし、細いし、クラスメートから仲間外れされたり、近所の悪い子にいじめられたりしてた。
風磨はずっと健子の味方で、助けてあげて、そばにいてあげてた。健子の大きめのいつもキラキラする目で見つめられて、ありがとう風磨って言われるたび、風磨が嬉しくて嬉しくて心臓のドキドキが止まらない。
でも最近、健子を見ることが辛くなってきた。
一年前までガリガリの身体がこの一年間にものすごい速度で伸びてきた。身長と同時に、上半身も目に見える勢いで成長してた。
今日は健子と放課後に一緒にゲーセン遊びに行くと約束した。
寂しがり屋なのに、風磨以外に友たちいないから、健子が小さい時からよく風磨と男だらけのゲーセン行ってた。でも今日、風磨はどうしても健子を連れてあんなところに行く気にならない。
学校の裏口で待ち合わせしたら、風磨は健子に適当にそう言った。
「え、帰るの?なんで?」
ゲームが好きでもないけど、風磨と一緒にいることを期待してた健子は困るように目が垂れてて、手が帰ろうとする風磨のシャツの裾を掴んだ。
「なんでもない、急に帰りたくなった。」
「なに、それ…」
「一人で帰れるよね、俺ちょっと寄ってくるとこあるから。」
なんとなく、健子を見るといらいらする。早くこの場を離れたくて、急いで振り向いたら、後ろから健子の泣き声が聞こえた。
「は?どうしたよ急に!」
顔を手で隠しながら、しゃがんで泣いてる健子がいた。身長伸びたけど、上半身が異常に短いから、しゃがんだら小さくて子猫みたいに可哀想でかわいい。
「くうっうううっ」
聞いても返事しない。
「まだあいつらか?いま殺してやってくる!」
あいつらとはいつも健子をいじめてたやつらのこと。
「ち、違うっくうぅ」
健子がいじめられたことを思って、頭にガッときて、風磨はなにもせずにいられなくなる。その時、健子の冷たい手に腕を掴まれた。
「風磨、最近冷たいから、私を、捨てるの?」
怯えてるようにゆっくり上げた顔は涙まみれだ。
「えっ」
完全に予想外の答えだった。
「夏休みから冷たかった…聞きたかったの、でも怖くて…」
「いや、そんな、」
「風磨に捨てられたら、私どうしたらいいの…くうっぅ」
健子は啜り泣きながら、風磨の腕をまたぎゅっと掴んだ。
「お前、なに考えてんの。」
自分に冷たくされたら、捨てられるのが怖くて、聞くことすらできなかった健子、なんてかわいいんだ。
「ずっと会ってくれないもん、やっと約束したのに、くううっ」
「ほら、メークも台無しだよ」
「えっやだ!見ないで!」
急に意識し始めたみたいで、健子が恥ずかしそうにまた顔を手で隠した。
「あら、アイラインめっちゃ落ちてる」
「くうっやだ、風磨見ないで、お願いだから、見ないで、」
かわいいから、なんとなくいじめたくなりそう。
「いい子から、顔上げて」
いやいやと嗚咽する健子の顎を指でぐいと上げたら、涙でも隠しきれない色気が目から溢れてきた。
あ、これだ。
健子と一緒にいることが辛くなった理由はその色気だ。
体がまだ小さい時に買った制服のせいで、スカート短すぎるし、シャツもぴちぴちになった。白くて、弾力がありそうな太ももと、シャツの中に主張する胸が風磨にとって目障りのような存在。
俺はいつまでもお前の友達だからね。子供のごろ風磨はそう言ってた。そう約束したから、友たちでいること以外に選択肢なんてない。友達だから、好きになっちゃだめ、友達だから、健子のことをそういう目で見ちゃだめ。でも健子を目の前にしたら、気持ちが抑えられない。
今も、びくびくとすすり泣いてる健子を見て、その瞳に吸い込まれそうだ。
やばい、もう無理。
「うっ!」
健子は幼馴染の厚めの唇に口を塞がれた。でも、その唇すぐ離れた。
「家に誰もいない?」
風磨はなにかを我慢するようにふーふーと荒い息してる。
「えっ」
聞かれても、そんなに頭が良くない健子はまだ状況がわからないまま、目を丸くして、ぼんやりしてる。
「パパとママ、仕事?家にいない?」
「あ、うん、いない、」
健子の両親は勤務時間が不規則で、夜勤が多いらしい。
「今日健子んちに泊まっていい?」
「うん」
健子の手を繋いだまま帰ろうとすると、やっと我に返ったみたいな健子が「嬉しい」と言った。
きっとそれが二人の仲直りだと思ってるだろう。
本当に嬉しそうにくすっと笑ってる健子を見ながら、一瞬だけ、風磨がこれからすることに罪悪感を感じた。
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